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放送日時 2017-01-27

2017-1-27OA 「平成知新館にみるモダニズム」

番組名:KYOTO space fountain

投稿日時 2017-01-27 13:15

出演者情報

パーソナリティ) ローバー都市建築事務所
             野村正樹

パートナー)  橋本沙抽里

音声

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2014年(平成26年)秋に開館を迎えた、京都国立博物館の新館となる「平成知新館」.
昨年には、日本国内のそれぞれの時代を代表する優秀な建築作品に与えられる「BCS賞」を受賞した
ことでも有名な話題の美術館である。設計は米国のニューヨーク近代美術館(MOMA)新館や
東京国立博物館法隆寺宝物館など国内外で多くの美術館や博物館の設計を手がけた谷口吉生氏。
モダニズム建築の第一人者として世界的にも著名な現代日本を代表する建築家のひとりである。
直線を基調とするそのデザインは現代的でありながら、庇や格子、簾と入った和のモチーフが随所に
取り入れられ、来訪者がゆっくりと観賞することのできる展示空間が実現されている。
写真右には、明治30年開館の明治古都館(旧帝国京都博物館本館)。設計は旧東宮御所(現・迎賓館)
を手がけた、明治期に活躍した宮内省建築家・片山東熊。煉瓦造平家建てフレンチルネッサンス様式の
その外観は、古都・京都に洋風の建物はそぐわないと建設当初は反対運動もあったそうである。
明治古都館と正門の東西軸に直行する南北軸線上に建物配置を計画することにより、京都のグリッド状
の都市構造との関連付けがなされ、明治洋風建築と平成現代建築のそれぞれの時代をあらわす二対の建物
による対比がみてとれるところも興味深い。スキップフロアや吹き抜けを立体的に組み上げながら、簾状
のスクリーンや格子を効果的に使用した陰影の表現、光の階調も幻想的である。モダニズム建築が目指す、
美しい「調和」のかたちがこの美術館には存在している。