
今回の特集はフォーク。「ジョーン・バエズ」特集。 司会:隅井孝雄、松岡千鶴
彼女と私、隅井はほとんど同世代。ベトナム戦争の激動した時代を共有しています。
彼女は雨とか、海とか、鳥とか自然の情景を描写した歌、社会の底辺にいる人の苦しみを歌う。
柔らかな言葉の中に、鋭い反戦の思いが潜んでいます。
67年、バエズの東京公演がありました。司会は人気パーソナリティー高崎一郎でしたが、
バエズの語りを意図的に語訳して批判を浴びるという出来事が忘れられません。
「What have they done to Rain」を歌うときバエズは「この歌を広島長崎に捧げる」とコメントしました。
高崎は「コンサートはテレビ中継されています」と訳し、「Blowing in the Wind」の時、
「ベトナム戦争に反対し、納税を拒否している」という彼女の言葉を「アメリカは税金が高い」と訳しました。
後に高崎自身「CIAに脅されたからだ」と釈明しています。
舞台裏で恐ろしいことが起きていたころでもありましたが、彼女の歌声はさわやかでした。
番組では次の4曲を紹介しました。
1.House of the Rising Sun;Traditional
娼婦の女性が半生を振り返る。幸せから遠い女性へのsympathyを歌い上げた。
2.What have they done to the Rain;1963年。
あたり一面ほんの少しの小雨が注ぐ、あの人たちは、雨に何をしたか、いつか草は枯れ、男の子も消えた。
日本公演で広島長崎に捧げるとして歌った。
3.Blowing in the Wind:
どれほどの道を歩く、どれほど鳩は飛ぶ、いつ砂の上で安らぐ、弾が飛び、殺戮が止むのはいつ、
答は風だけが知っている。公民権運動のテーマソングになった。
4. Green Green Grass of Home: 刑務所で死を待つ男の思い出。社会の底辺に生きた男の心情に思いを寄せた。